こんにちは。今回は、最近注目されている「空き家問題」について深掘りします。相続コンサルタントとして、私が見てきた現場の実情と、国の統計や背後にある社会的要因に基づき、この問題がなぜ起こっているのかを考えてみたいと思います。
日本の長寿化:
- 日本の長寿化は、世界でも有数です。多くの人が高齢になると、大きな家を維持するのが難しくなり、特に独り身の高齢者や夫婦だけの家庭では、家を手放すか、あるいは放置するケースが増えてきました。
具体例: 長野県では、平均寿命が男性で81.15歳、女性で87.18歳と、国内で最も長いとされる。この結果、高齢者が一人で広い家に住むケースが増え、そのまま放置される家も少なくありません。
高齢になると決断が難しくなる:
- 高齢になると、物件の売却や移住といった大きな決断をすることが難しくなることも一因です。情緒的な価値や家族の歴史が詰まった家を手放すことは、心理的な負担が大きいのです。
具体例: ある調査によれば、70代以上の高齢者の約4割が「家や土地をどうするか決めかねている」と回答しています。多くの高齢者が、家族の想い出が詰まった家を手放すのが難しいと感じています。
日本の人口減少:
- 日本の人口は減少しています。これにより、特に地方では住民が減少し、空き家が増加する傾向にあります。また、都市部に人が集まる傾向が強まり、地方の空き家問題は深刻化しています。
具体例: 島根県や鳥取県などの地方都市では、過去10年で5%以上の人口が減少しています。このため、市街地でも空き家が目立つようになってきました。
価値観や生活形式の移り変わり:
- 若い世代の間で、大きな家や土地を持つことの価値観が変わってきました。シンプルライフを求める人が増えたり、核家族化が進んでいるため、かつての大きな家は必要とされにくくなっています。
具体例: 東京都心部のマンション市場で、1LDKや1Rといったコンパクトな物件の需要が高まっています。一方、昔ながらの大きな一軒家は売れにくくなっている現状があります。
新耐震基準を満たしていない:
- 昔の家は、現在の耐震基準を満たしていないことが多いです。このため、耐震工事を行わなければ賃貸や売却が難しいため、空き家になりやすいといわれています。新しい家を求める人々は、古い家を避ける傾向があります。そして、その古い家が空き家となるケースが増えてきました。
具体例: 1981年以前に建てられた家は、新耐震基準が施行される前のものである可能性が高く。例えば、空き家にせずに子ども世代が引き継ぐ場合はリフォーム費用が必要になります。その際は資金面などの検討が必要になってきます。
以上の要因が組み合わさり、現在の空き家問題が深刻化しているのです。
この問題に取り組むためには、親自身や子どもは、親亡き後の実家についてどのような対策をとるとよいのか。
空き家になる前と空き家になってから後悔しないためにも事前の相談を専門家へ相談することをお勧めします。
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